分離不安のドーベルマン。
家の中では、
影のように私の後をついてまわります。
主人からは「金魚のふん」と、
有難くない名前で呼ばれることもあります。
二階は猫スペースなので、犬禁止区域です。
仲良くして欲しいのですが、
ガサガサなクークを嫌がる猫のりくは、
クークがフリーの間は一階に降りてきません。
私が二階に居る間、クークは階段の下で
静かに座って待っています。
外出先でも
この様に待っていて欲しいのですが、
外では私や主人が離れると
「わん!わん!」と吠え、
洗濯機のようにグルグルと回り出します。
これを何とかしたいと思い、
公園にお散歩に行った時に、
木や、しっかりした杭につないで
「待て」の練習をしました。
リードが私の手から離れただけで、
クークはドキドキします。
「待て」と言い、最初は3メートル離れて
すぐ戻り、オヤツをあげます。
少しずつ距離を伸ばし、
慣れてくると10メートル離れた所で
1分数えてから戻ったりしました。
お散歩のたびに1~2回練習していました。
公園の「待て」にもっと慣れてきたら、
私が木や、植え込みのかげに隠れます。
それでも静かに待てたら、オヤツをあげて、
いっぱい褒めてあげて、
クークが好きな遊びをしました。
そんなある日の夜中、
私は大事な用を思い出しました。
コンビニに行かなければなりません。
主人はぐっすり夢の中です。
オバケの怖い私は、
クークを連れて行きました。
入り口から遠い、コの字の車止めに
クークのリードをつなぎ、
「待て」と言って店に入りました。
鳴き声がしないか、耳を澄ませながら。
そして用を済ませ店から出ると、
静かに、じっとこちらを見ている
クークの姿がありました。
ミッション・コンプリート。
そばに行くと、笑顔でクネクネしながら、
器用に尻尾を振るクーク。
車止めからリードを外すと、
何度も何度もスタンディングジャンプ。
私と目の高さが一緒になります。
「出来たね、えらかったね、クーク」
日本記録が出たように喜ぶ飼い主と犬、
深夜2時半、人けのないコンビニ前でした。