クーク 魔が差す

すぐ鼻先にお肉が置いてあっても、

テーブルの端っこに

大好きな焼き芋が置いてあっても、

廊下にキャットフードが一粒、

落ちていてもクークは食べません。

そんなクークの、2才のお誕生日まで

あと15日の頃のお話です。

 

植木鉢に成った、食べ頃のイチジクの実を

2個もいで、テーブルの上に置きました。

このイチジクの木には、特別甘い実が成ります。

洗濯物を干しに行って、戻ってみると

イチジクがありません。

「あれ?テーブルの上に置いたような気がしただけかな?」

とも思いましたが、

自分のこれまでの動線をたどってみても

イチジクはどこにも無かったのです。

「う~~~~ん??」

自分の頭を心配しながら、この日は終わります。

 

2014-1-11

 

翌日、

植木鉢のイチジクの木には

食べ頃になった実がもうひとつ。

今日こそはしっかりと覚えておこうと、

実をもぎ、大事に持って行き、

テーブルの上に置きました。

2階の用事を思い出し、

階段を上がりかけたのですが、

忘れ物をして戻ると!

テーブル上のイチジクを、クークが今まさに

咥えようとしているではありませんか。

私は「あーーーーーーっっ!」と叫び、

テーブルを手でバンバン!と叩きました。

狼狽するクーク。

 

しかし、ボケが進行してしまったかしら、と

心配した昨日の自分を思い出して、

テーブルバンバンだけでは気が収まらず、

クークの目のそばまで私の目を近付けて

「ガルルルル!!」

と言っておきました。

 

狼狽-400

 

そういえば、

クークがまだ子犬だった頃から、

隙あらばこのイチジクの木に

走り寄ろうとしていました。

イチジクの樹液が良くないと

何かで読んだ事があったので、

近寄らせなかったのです。

イチジクには、クークに出来心を

起こさせるほどの魔力があったようです。

 

クークは現在、4才と10カ月です。

あの日以来、テーブルの上のイチジクが

姿を消す事はなくなりました。

 

 

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